No. 6
No. 6
これはプロジェクトというか、タイでの事業です。旦那と、タイ人のパートナー3人の5人で『TASTE HUNTERS』という会社を立ち上げて自然派ワインやクラフト日本酒などの輸入をしています。
旅をするなかで見つけた素晴らしい小規模の蔵やワイナリーの方々のお酒を、ストーリーとともに丁寧に広める活動をしています。いろんな国をまわるなかで、常に成長を目指すあまり会社が大きくなり独占し、画一化した味や景色に塗り替えてしまうことにつまらなさと悲しさを覚えました。
国の農地の約20%がオーガニックだったり、なるべく自然電力でまかない原子力発電由来の電力を買わないなどという取り組みをするオーストリアをまわると、美味しいワインを作る人たちに出会います。電気も太陽光発電、農薬や化学肥料を使わず、手をかけてつくられたワインは、ほんとうにきれいな味がします。何千年も前は海だったというワイナリーから生まれるミネラルたっぷりの味、畑から醸造からラベル貼りまでをたったひとりで行うワイナリーから生まれる生き生きとしたブドウの味。完全手作業の柔らかな味わいなど、その場所で、その人たちの顔と景色が浮かぶワインに、生き残って欲しい。日本酒も同じで、400年も続くような家族経営の酒蔵で生まれる崩れない味に、完全酵母無添加で菌に寄り添う作りをした唯一無二の味、時代と共に改良を重ね、フレッシュさとテロワールを表現した現代を代表するような味。
ワイナリーも酒蔵も、みんな家族経営で小規模で、超ローカルな味を生み出しているところばかり。面白いのは、ローカルを極めるとグローバルに通用する美味しさになるというところ。大きなところに巻かれたり迎合するのではなく、常に適正な規模で多様な味が存在できるような世界になればいいなと思い、活動しています。輸出入の事業をやることはいつも自己矛盾を抱えながらの挑戦だけれど、本当に手をかけたいいものが大きく言わなくても、大きくならなくても生き残れる世の中になればと思う。
あ、でも、一番いいのは、そういった手のかかったお酒やワインは本当に悪酔いしないってところ(笑)